2020.11.14
脱マンネリ思考! アイディアや素材をきちんとビジネスにするには「発想術」あってこそ~漫画家・秋本治の仕事術その4
Q.年をとると、クリエイティビティが衰えていくような気がして不安です……
仕事でも人間関係でも、年齢を重ねるほどに経験も積み重なって、自分なりの対処法が見えてくるもの。
トガっていた若い頃に比べて物事はスムーズに進みやすくなるかもしれないけれど、そのぶん新しいことにチャレンジしたり、予想外の出来事に遭遇したりする機会は減っていきがちです。
一般的にも、若い方が頭が柔らかく、斬新な発想をしやすいというイメージがありますが、実際のところはどうなのでしょうか。
年々衰える体力や気力と共に、創造性も失われてしまうのか……。
40年以上、日本の漫画界を牽引し続けている秋本さんの見解がこちらです。
A.年齢を重ねることは何の問題でもない。知識も発想力も洗練されたものになる
年齢を重ねることを悲しいと思う人もいるかもしれませんが、僕にとっては何も問題ではありません。なぜなら、若いころは若いなりの発想、中年になると中年なりの発想ができるからです。
発想力においてももちろん、若者の方が瞬発力に優れています。でも歳をとった人は、積み重ねてきた経験に裏打ちされた深い発想ができるはずなのです。
絵や文章に関しては、歳をとってきてからの方が洗練されたものをつくれるという感触もあります。
たとえば、車が好きな僕も20代のころはあまりよく知らずに、いい加減なことを色々と描き散らしていました。「ターボは速い」という漠然とした知識をもとに、勢いだけで描いていたような感じなのです。でもいまの僕はよりリアルに、ターボエンジンの技術を描くことができます。
銃の描写も若いころは、無闇に「バン! バン!」というものでしたが、いまはより詳しく正確に、銃の性能についての解説だって入れることができます。オートバイに乗れなかったころに描いたものは、いま考えると乗り方も壊れ方もまったくおかしなものでした。ハーレーについても「これは、300万円もするものよ」と値段でしか表現できなかったり。それを、より正確に深い描写ができるようになったのは、まさに年の功というべきかもしれません。
ただ、ものを知らない若さゆえの瞬発力も、素晴らしいものがあると思います。僕はポルシェなんて触れたことすらなかったころに、ポルシェを買いに行く人の話を描いたことがあります。そのとき、見たこともなかったポルシェのキーを、想像でめちゃくちゃゴージャスに描いてギャグにしました。
無知を笑いにつなげたのです。
若いなりの発想、中年なりの発想、年寄りなりの発想、それぞれに価値がある。そう考えればいいのではないかと思っているのです。
秋本治流、長く、面白く仕事をする秘訣がこの1冊に!
漫画家・秋本治さんによる初のビジネス指南書『秋本治の仕事術 『こち亀』作者が40年間休まず週刊連載を続けられた理由』では、今回取り上げた時間術の他にも、
・週刊連載を続ける中で、「ツラい」「キツい」と感じたときはどう乗り越えてきたのか。
・週刊連載時代、そして現在もどのようなタイムスケジュールで働いているのか。
・歴代担当全員とうまくいった人間関係はどうやって築いたのか。
など、「40年間休載なし」という偉業を成し遂げた著者の仕事の取り組み方を公開。
巻末には本書のために描き下ろした特別漫画「両津勘吉の仕事術」も掲載しています。
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