2020.11.14
脱マンネリ思考! アイディアや素材をきちんとビジネスにするには「発想術」あってこそ~漫画家・秋本治の仕事術その4
Q.斬新な発想を生み出すコツなんてあるのだろうか?
斬新な企画を出したい、画期的なアイデアを提案したい。
そう思うのは簡単ですが、思うだけで実現できたら苦労はしません。
巷にはビジネスセミナーや勉強会の案内が溢れていますが、参加するにはお金や時間のゆとりも必要だし、なんとかやりくりして参加したところで、成果に結びつく保証はありません。
新しいモノやサービスを生み出す発想はどこからくるのでしょうか。
そして、目の前の仕事に取り組むのに精一杯な日々の中で、発想力を発揮するためにはどうしたらいいのでしょう?
A.自発的な興味と遊び心こそが仕事の出発点であり原動力である
新しい体験をすると、すぐにマンガのネタにならないかと考えます。もしなりそうだと思ったら、どんなストーリーにしようか、どんな風に見せたら効果的かと考えはじめ、とてもワクワクしてきます。
新しい体験=勉強だという感覚はいっさいありません。ただ自分が楽しんでいるだけ。その楽しさを、自分だけではもったいないからみんなに伝える手段が、僕にとってはマンガなのです。
本や雑誌を読んだり、テレビを観たり、ラジオを聴いたりしていて新しいものを発見すると、「ふーん、いま、こんなのがあるのか」。その次に考えるのは「じゃあ、みんなにどうやって見せようかな」ということ。とにかく人に見せたい、発表したいという欲求が、僕は人一倍強いのかもしれません。たとえば、ボーカロイドの存在を初めて知ったときもすごく興奮しました。そして「これは日本のすごい発明だから、すぐみんなに見せたいなぁ」と思い、『こち亀』のストーリーが頭の中にわいてきました。
自分が楽しいと思ったら描かずにはいられない。これが自分の性格です。だから逆に、人から提案されたネタは描きにくいものです。もちろん、すぐに興味が持てるようなものだったらいいのですが、なかなか楽しいと思えないようなことだとマンガのアイデアが出てきません。
自発的な興味と遊び心こそが、出発点であり原動力である。
これはマンガ以外の仕事でも同じなのではないかと思います。