2020.11.14
脱マンネリ思考! アイディアや素材をきちんとビジネスにするには「発想術」あってこそ~漫画家・秋本治の仕事術その4
この偉業の背景には、どのような思考や行動、努力があったのでしょうか。
そのマインドやハウツーをあますところなく語ってくださったビジネス指南書『秋本治の仕事術 『こち亀』作者が40年間休まず週刊連載を続けられた理由』から、今回は、秋本さんが実践する「発想術」を3つご紹介します。
40年もの間、休むことなく『こち亀』全200巻という驚異のロング作を描き続けることができたのはなぜか……そこにはこんな発想の転換術がありました。特別難しいものでもなし、誰でもすぐ真似できて、仕事の企画力や発想力を高めるヒントがここに!
●「セルフマネジメント術」編はこちら。「時間術」編はこちら。「コミュニケーション術」編はこちら。
*書籍から一部抜粋・再編集してお届けします。
(構成/「よみタイ」編集部)
Q.やりたいことや情報はたくさんあっても、企画として上手くまとまらないのですが……
面白いアイディアや素材に出会うとワクワクしますが、それがビジネスとして形になるかどうかは、また別の話。
仕事をしていながら、ひらめきはあるけれど企画としてまとまらない、上司や同僚から次々と企画の素材を提供されるけれど、どう手をつけてどう実現していったらいいのかわからない……という状態にしばしば直面するものです。
さらに今は、手元のスマホをちょっといじれば、いくらでも情報が手に入る時代。
それ自体は便利なことですが、“アイディアの断片”ばかりが集まったところで、肝心の成果につながらなければ企画そのものがダメになるどころか、達成感も得られず、フラストレーションが溜まる一方……。
やりたいことや情報はたくさんあるのに企画にならない。そんな人には秋本さんのこの対処法がヒントになるはずです。
A.仕事でたくさんのことを抱えてしまったら、少し寝かせるといい結果につながる
楽しく取材をすると、たくさんのことを聞きすぎてしまい、終わってから改めて考えると「えーっ、こんなにいっぱい入らないな」と悩んでしまうことがあります。『こち亀』という週刊連載を持っていたころは、取材で得た内容を少しのあいだ寝かせ、別の回で活かすこともありました。
仕事で大変な荷物をたくさん背負いこんでしまった場合、この〝少し寝かせる〟 という行為も大事なのです。
『こち亀』の中でも特に高い評価をいただいた、「希望の煙突」の回がまさにそのパターンでした。実際におばけ煙突の中で働いていた人を取材したのですが、たくさん聞きすぎてしまった上に、写真などの資料も膨大になってしまいました。帰ってから考えてみると、情報が多すぎてとても処理しきれないと感じたので、そのまま何もせずに半年以上も放置しました。
冷静になってみると、徐々に頭の整理がついてきました。あの話は両さんではなく、紅月灯という女の子がメインになります。そして現在ではなく、両さんの子ども時代という設定になりました。
これらのアイデアは、半年寝かせて冷静になれたからこそ出てきたと思っています。もしも取材直後に描いていたら、膨大な情報に翻弄され、下手したら「マンガでわかるおばけ煙突の歴史」のようなドキュメントで片付けたと思うのです。
これは、様々な仕事の人に応用してもらえることではないかと思います。
何かをたくさん背負いこんだときは気持ちも昂ぶっているので、無理に処理してもあまりいい結果につながらないことが多いものです。そんなときは、とにかく一旦荷物を降ろし、しばらく横に置いておくことです。
「後で片付ければいいや」というズボラさも、少しは持っていた方が生きやすいのではないかと思います。
会社で上司にいわれたことを、全部本気でやっていたら、きっとおかしくなっちゃいます。少し寝かせれば、よりいい結果につながるはずですよ。