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村井理子さん新刊『実母と義母』発売に寄せて。「実母や義母に複雑な思いを抱えている人に読んでほしい」

『兄の終い』『全員悪人』『家族』などで、家族関係のままならなさを描き続ける翻訳家でエッセイストの村井理子さん。
待望の新刊『実母と義母』が、10月5日に発売されます!
癌で亡くなった実母と、今現在認知症が進行中の義母、「ふたりの母」に焦点を当てたエッセイです。
本書の発売に寄せて、著者の村井さんから特別メッセージが届きました。

実母にやれなかったことを、なぜ義母に……

 実母が亡くなって九年、義母が認知症を患って四年。
 晩年の母とは過去の行き違いが原因で、私自身が理想としていた「母と娘」の良好な関係を築くことができませんでした。それを今、とても後悔しています。私が母の気持ちをもっと理解していれば、彼女の人生をより深く知ることができていたら、結果は違っていたのかもしれません。失った存在のあまりの大きさに、戸惑うこともあります。
 一方、結婚前から何かと衝突し、結婚後も顔を合わせれば険悪なムードが漂っていた私と義母との関係は、彼女が認知症になり、別人のように穏やかになったことで激変しました。今となっては、実の息子の顔は忘れても、私のことは決して忘れないほど、私を身近に感じているはずの義母。彼女の介護に携わればそれだけ、実母に対してできなかったことばかりが思い出されます。実母にやれなかったことを、なぜ義母にしなければならないのか。そんな、重く、強い怒りを感じることが多々あります。義母が以前のような強さを失い、私に頼る機会が増えている今、過去の確執がより鮮やかに甦ります。これだけ力を失い、為す術のない人を前にしても、私はそれを決して帳消しにはできないのです。そんな自分の頑なな怒りに、自分自身でも恐ろしくなります。
 目の前にいる義母と、もうこの世にはいない実母。二人のこれまでの人生を自分なりに考えることで、私自身のこの先の生き方が変わるかもしれないと思いながら書きました。そして、私の心のなかにいつまでも居座る、強い怒りをどうにかして解放したいと考えています。
 実母、そして義母との間に複雑な思いを抱えているみなさんに、是非読んでいただきたいと思います。

刊行記念トークイベント開催! 申し込み受付中

●村井理子『実母と義母』刊行記念トークイベント

「読書室」主宰、梅田蔦屋書店人文コンシェルジュの三砂慶明さんが聞き手となり、新刊『実母と義母』を上梓した村井理子さんが、執筆時のエピソードや、本書の執筆を通してより深まった“二人の母”への思いなどを語るトークイベントです。
開催場所は、梅田 蔦屋書店。関西地方にお住まいの方は、この貴重な機会をどうぞお見逃しなく!

◼︎ 開催日
2023年10月21日(土)
◼︎ 開催時間
16:00〜17:30(開場時間:15:30)
◼︎ 場所
梅田 蔦屋書店 シェアラウンジ〈スカイエリア〉
◼︎ 参加費
2,200円(税込)

詳細と予約はこちらから↓
https://store.tsite.jp/umeda/event/humanities/35974-1211500917.html

エッセイスト・酒井順子さんとの対談イベントも!

●村井理子×酒井順子 「母には振り回されてきたけれど~娘から見た昭和を生きた母親たち」

◼︎ 開催日
2023年10月13日(金)
◼︎ 開催時間
19:30~21:30 (19:00オンライン開場)
◼︎ 場所
本屋B&B+オンライン配信
※現地参加は満席。オンライン参加(zoomウェビナー)のみ予約受付中。
◼︎ 参加費
1,650円(税込)/オンライン配信

詳細と予約はこちらから↓
https://bookandbeer.com/event/20231013_mds/

『実母と義母』いよいよ10月5日発売です!

1,650円(10%税込)
1,650円(10%税込)

 逃げたいときもあった。妻であることから、母であることから……。

 夫を亡くしたあと、癌で逝った実母と、高齢の夫と暮らす認知症急速進行中の義母。
「ふたりの母」の生きざまを通してままならない家族関係を活写するエッセイ。

 婚約者として挨拶した日に、義母から投げかけられた衝撃の言葉(「義母のことが怖かった」)、実母と対面したあとの義母の態度が一気に軟化した理由(「結婚式をめぐる嫁姑の一騎打ち」)、喫茶店を経営し働き通しだった実母の本音(「祖父の代から続くアルコールの歴史」)、出産時期と子どもの人数を義父母に問われ続ける戸惑い(「最大級のトラウマの出産と地獄の産後」)、義母の習い事教室の後継を強いられる苦痛(「兄の遺品は四十五年前に母が描いた油絵」)など全14章で構成。

 村井理子さんの最新刊『実母と義母』は、Amazon他、全国書店でお求めいただけます!

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村井理子

1970年、静岡県生まれ。翻訳家、エッセイスト。琵琶湖畔に、夫、双子の息子、ラブラドール・レトリーバーのハリーとともに暮らしながら、雑誌、ウェブ、新聞などに寄稿。主な著書に『兄の終い』『全員悪人』『いらねえけどありがとう いつも何かに追われ、誰かのためにへとへとの私たちが救われる技術』『ハリー、大きな幸せ』『家族』『はやく一人になりたい!』『村井さんちの生活』 『村井さんちのぎゅうぎゅう焼き』『ブッシュ妄言録』『更年期障害だと思ってたら重病だった話』『本を読んだら散歩に行こう』『ふたご母戦記』『ある翻訳家の取り憑かれた日常』など。主な訳書に『ダメ女たちの人生を変えた奇跡の料理教室』『黄金州の殺人鬼』『メイドの手帖』『エデュケーション』『捕食者 全米を震撼させた、待ち伏せする連続殺人鬼』『消えた冒険家』『ラストコールの殺人鬼』『射精責任』など。

X:@Riko_Murai
ブログ:https://rikomurai.com/

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