2020.10.4
川村エミコの15年にわたる奮闘〜「声が出ない!私が舞台に立った日」
そして、高校が終わり大学生になった時、「好きなことができる最後のチャンスだ!」と誰から聞いた訳でもなく思い、今まで入れなかった演劇部に入ろうと思いました。
初め早稲田大学のお友達に聞いて、「劇団インベーダーじじい」というところに連絡して、ワークショップに参加しました。
剣道部でチカラもないのに大将をやって来た私は少しだけ度胸がついていたみたいで楽しいワークショップでした。早稲田大学は高田馬場。私の大学は国分寺。自分の通っている大学の演劇部で良いのでは無いかなぁとも思いました。
今にも崩れそうな部室のある建物に行き、【演劇研究会】のドアをいざ1.5階に見つけました。
緊張してすぐにノックは出来ず、崩れそうな3階建ての建物を4周はグルグルグルグルと周りました。春なのに暑い日で汗だくになりながら、次前を通った時ノックするぞ! できるぞ!私。できるはずよ!と唱えながら、ゆうに1時間は経っていて、もうキャンパスにも人が減ってきてしまったと思い、いざ!トントン。手をぐーにして、ギュッとして誰か出るのを待ちました。もう一度、トントン。反応はありません。
思い切ってドアノブを回しました。
鍵が掛かっていました。なんだかホッとしたような、ガッカリしたような、サッサとトントンすればよかった。という自分を責める気持ちやらで、ドッと疲れました。
週明け、すぐにトントンしに昼休みに行きました。
扉がギギギという嫌な音と共に、私の憧れだった舞台に立つ人への一歩目の扉が幼稚園から15年にしてやっとこさ開きました。
そこにはOBの人が居座っていたり、初めての舞台がコントだったりと、とても濃厚な演劇部生活が始まります。
それもまた、別のお話です。
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