2020.9.22
川村エミコ、人生初のキャンプを振り返る〜「キャンプの思い出」
お母さんは土曜日の午後はスーパーにお買い物。定番パターンだ! きっとそうだ!
今すぐ探しに行くのか……いや、Sちゃんのご両親の許可が下りなければそもそもキャンプは無理だ。
私は黒電話の前で待つ事にしました。
客観的な風景として思い出します。
Sちゃんのご両親のお返事がOKかどうかの連絡を、黒電話に手を掛けて待つえみこちゃん。
ジリリリリリリー! 大きな音で突然鳴り響く黒電話。すぐ出れば良いのにいつもの癖で2回鳴ってから「はい、もしもし。川村ですけど、どなた様でしょうか?」
もちろんSちゃんです。
Sちゃんからの「川村さんも大丈夫だって。」のお返事。「ありがとうございます。それでは、私はお母さんに大丈夫かどうか聞いて参ります。」
出発は4時。うちの前までお迎えに来てくれるとの事。もうお昼過ぎ。時間がない!
全主導権を持つ絶対なる母を探さなければ! 母から許可を貰わなければ!!
私は慌てました。体操服のまま帰宅した事を後悔しました。めちゃくちゃ慌てて洋服に着替え、いざ靴下を履こうとしたら、靴下が片方無いのです。
赤と白の靴下。小学生の女の子がよく履いている膝までの長めの靴下です。
キャンプの許諾と片方だけの靴下。
天秤に掛けた時、もちろん「キャンプに行きたい!」が1番です。靴下が片方なんてどうでもよかったです。片方の靴下のまま、横浜は下末吉の町に飛び出しました! 買い物に行っている母。多分!です。スーパーの候補は二つ。両方ともよく行くスーパーです。
まずは八百屋さんとスーパーが一体になっている方に勘だけで走りました。大きなタイヤが重ねて置いてある場所が当時通っていた公文式の前の道にあったのですが、そのタイヤの中もなぜか覗きました。絶対母いません。
スーパーに到着。八百屋さんとスーパーの中を順番に探しました。スーパーと八百屋さんの入り口になっている開けた場所でハァハァして仁王立ちした自分の姿を思い出します。なぜか睨み付けていました。
私、別人でした。
「お母さんを見つけなければ! わたしのキャンプの夢は打ち砕かれる!」崖の上に立ち、荒波どっぱ〜〜ん!!です。
母はいませんでした。八百屋のおじさんに「そんなに慌てて、どうしたの?」ではなく、「片方、靴下どうしたの? 無いの?」と聞かれ、答える余裕も無く、大きくうなずき、もう一つのスーパーに向かう決意をしました。こちらのスーパーか八百屋さんで買い物して家まで戻っている途中のお母さんに追いつけるかもしれない!
でも、ウチまでの道のりは3パターンありました。
自転車だったらもちろん追いつかないし、そもそも違う道だったら……会えるもんも会えない! 自転車(ママチャリ)が家にあったかどうか確認して来なかった自分を悔やみました。
家まで走る道のりで上級生とすれ違い、急に靴下が片方だけな事が恥ずかしくもなりました。
強欲モンスターえみこちゃんに恥ずかしいという感情がありました。
でも、今はキャンプ!に行けるかどうかが先決です。足がモツレル振りをして、靴下がなんとか片方に見えないように歩けないか試したのを覚えています。残像作戦! カッコ悪いです。
もう一つのスーパーは家を挟んで反対側です。
一度家に戻って母と自転車確認をしようと思ったその時、お母さんが前から自転車でやって来ました!
奇跡です! 大きな松の木があるお家の前でした。