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40年休載なしの『こち亀』作者に学ぶセルフマネジメントの極意~秋本治の仕事術その1

Q.さあ、困った! 仕事での大ピンチの乗り越え方は?

仕事に行き詰まったり、人間関係がこじれたり、誰にでも「どうしよう……」と頭を悩ます事態は訪れます。
これは仕事だけでなく、日々の暮らしにおいても往々にしてピンチというのは突然やってくるものです。

それは人気漫画家・秋本さんにとっても同じことでした。
それでも秋本さんはどんな厳しい状況でも仕事を投げ出すことはなく、きっちりと締め切りに間に合わせて、40年間連載を続けてきました。

いったいどのようなセルフマネジメントによって、仕事の逆境に立ち向かってきたのでしょうか。

A.〝ピンチはチャンス〟というのは間違いなく真実

 仕事上のピンチを感じたことが、誰でも少なからずあると思います。僕の仕事の場合は〝落ちる〞、つまり〆切に間にあわず、雑誌にマンガを載せられなくなりそうになることが最大のピンチです。
 ですが、『こち亀』のレギュラー連載は、十分なストックを持っていたので、落ちるというピンチを感じることはほとんどありませんでした。

 でも、あれは連載35周年のときです。記念として、マンガ13誌に僕のマンガを同時掲載するという企画が持ちあがったのです。嬉しいことではありましたが、話をもらってから〆切まで、時間は3か月しかありません。レギュラーの連載をやりながら、さらに週に一本ずつ描かなければならない計算です。これはマンガの世界の常識で考えるとかなりとんでもないことで、リアルなピンチを感じました。「落ちても文句はいわないでくださいね」という形で承諾しましたが、それを誓約書にしてハンコでも押してもらおうかと思うくらいに〝ヤバい〞仕事だったのです。

 でも結果は、なんとか乗りきることができました。毎日、朝5時に起きてネームをやるなどスケジュール管理をさらに厳しくして、やりきったのです。やっている間は、大変ではあるものの緊張感があって、いま考えるとピンチを楽しんでいたような気もします
 そして、この体験は大きな自信につながりました。『こち亀』の連載終了後、僕は新しいマンガを4誌に連載するという仕事をはじめましたが、ピンチを乗りきったこのときの体験があったからこそ、やろうと思ったのです。 

 ピンチを乗りきると、自分にとって必ずプラスになります。使い古された言葉ですが、〝ピンチはチャンス〞というのは間違いなく真実だと思います。

修羅場だったという13誌出張版はコミックスにまとめられている。(999巻)©秋本治・アトリエびーだま/集英社
修羅場だったという13誌出張版はコミックスにまとめられている。(999巻)©秋本治・アトリエびーだま/集英社

秋本治流、長く、面白く仕事をする秘訣がこの1冊に!

漫画家・秋本治さんによる初のビジネス指南書『秋本治の仕事術 『こち亀』作者が40年間休まず週刊連載を続けられた理由』では、今回取り上げたセルフマネジメント術の他にも、

・週刊連載時代、そして現在もどのようなタイムスケジュールで働いているのか。
・『こち亀』の毎回のアイディアはどこから出てきたのか。
・歴代担当全員とうまくいった人間関係はどうやって築いたのか。

など、「40年間休載なし」という偉業を成し遂げた著者の仕事の取り組み方を公開。
巻末には本書のために描き下ろした特別漫画「両津勘吉の仕事術」も掲載しています。
書籍の詳細はこちらから

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秋本治

あきもと・おさむ● 1952 年12月11日生まれ。東京都葛飾区亀有出身。1976 年、『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(週刊少年ジャンプ)で連載デビュー。2016年、40 年間、全200巻に及ぶ連載が終了。同作は「最も発行巻数が多い単一漫画シリーズ200巻(2016年9月12日現在)」として 、 ギネス世界記録(TM)に 認 定 さ れ た 。 現 在 、『 BLACK TIGERブラックティガー 』(グランドジャンプ))、『 Mr.Clice ミスタークリス』(ジャンプSQ.RISE)の2作品を連載中。

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