2026.3.18
着信はイタリア。スケボー犬 コーダにまさかのオファー【サーフィン犬 コーダが教えてくれたこと 第7回<前編>】
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犬の海外渡航に立ちはだかる最大の難敵、「動物検疫」
残る課題は、「日本からイタリアへ犬を連れて行き、犬と一緒に戻ってくる」ということです。今回、コーダをイタリアに連れて行くためには「動物検疫」が必須です。イタリアのテレビ局の担当・ニコレッタは、「その手続きはテレビ局が全部やるし、お金も経費として支払うからお任せあれ」ということでしたが、日本の動物検疫事情を知らない彼女は「犬のパスポートで来られるから大丈夫」と言いました。
犬のパスポート…? 聞けば、EU諸国内では、獣医師が発行する青色の「EUペットパスポート」があれば、犬を自由に出入国させることができるそうなのです。このようにイタリアと日本では犬事情がかなり違うため、やりとりが噛み合わずやきもきすることばかり。自分のことならまだしも、自分の“命”ともいえるコーダのことなのだから、自分が動いて準備を進めなければ…と、犬の海外渡航手続きについて徹底的に調べ始めました。
詳しく調べてみて分かったのは、日本からイタリアへ行くのは比較的簡単なのですが、イタリアから日本に帰国する時の動物検疫がかなり厳格なため、事前準備が重要ということです。日本にとってイタリアは「狂犬病清浄地域(狂犬病の発生がない“清浄国・地域”のことで、世界では非常に稀)」ではないため、狂犬病予防注射の抗体検査+180日の待機期間が必要で、その要件を満たしていれば、日本に帰国する際、聴診器を当てるなどの検疫所での軽い健康診断のみで一緒に再入国することが出来ますが、それが満たされていない場合は日本の空港内の施設で180日間待機しなければならなくなります。
そのほかにも事前にクリアすべき書類や手続きは、ざっと以下の通り。
・ISO規格のマイクロチップが装填されて確認が出来ている書類=OK
・狂犬病ワクチンが1年ごとに間を空けずに2回以上打たれていることの証明書=間が空いてしまっていたので8月に打っているのに12月にもう一度打つことにしました
・混合ワクチン証明書=詳細が記入された証明書を動物病院で作り直してもらいました
・狂犬病抗体価検査で0.5I U/ml以上である事の書類(渡航日は採決した日から180日経過していることも条件)=申請から2ヶ月待ってギリギリ入手
・日本の獣医師による、臨床検査の健康診断書と検疫の必要書類へのサイン=獣医の友人に頼みこんで協力してもらいました
・イタリアから日本に出発する10日前以内に現地獣医師の臨床検査とイタリア政府発行の健康証明書とスタンプを取得=帰国前に現地で手配
さらに、イタリアから日本に出発する前に現地でする手続きの40日前までに、日本の動物検疫所の「NACS」というシステムに届出をし、再入国のための手続きの日時予約をすること。これで、ようやく犬を連れてイタリアに行き、そして帰って来られるのです。
――お噂はかねがね聞いていましたが……その通りでした。手続き関係全般が苦手な私にとっては、本当に気の遠くなるような、長くて大変な作業でした。
そんなこんなでやっと、検疫の事に決着が着きそうな時、ニコレッタがイタリアから依頼したという動物輸出入の仲介業者から連絡があったのですが、その人も何で私に電話したのかはわからないけど頼まれたので連絡したみたいな有り様で…。私は「もう全部自分で用意したからいい!」と断り、心の中で「鬼滅の刃」の冨岡義勇のこの言葉を思い出していました。
「生殺与奪の権を他人に握らせるな!」
――コーダを他人に委ねて日本に帰って来られなくなったらどうするんだ! そう、すべて自分でやるのだ……。


2023年10月30日、コーダは12歳になりました。そして11月初旬、以前から予定していたスケボー犬のイベント「第3回笠間ドッグマーケット」です。私がプロデュース・企画・運営・演者・講師まで全てやっていた2000人規模のドッグイベントで、その日はBS TBSの番組「いぬじかん」の取材も入ることになっていました。番組では、このイベントの紹介と、イタリアでのギネス世界記録への挑戦を特集することになり、コーダはこの日、35人の足の間をくぐる挑戦をやったのですが、さすがコーダ! 挑戦1回目で35人の足の間をくぐり切り、ギネス非公式ではありますが33人の世界記録をあっさりと更新してしまいました。

【ドッグトレーナー浅野のWANコラム-7-】
犬を海外に「連れて行ける」と「連れて行けない」の見極め方
海外に犬を連れて行くことは、検疫書類の準備が整えばすべてOKということではなく、まず第1に、犬の適正を見極めることが大切です。
例えば、飛行機に乗っている間ずっとクレートで静かに過ごせるか。クレートに自在に出入りできるだけでなく、クレートに入ったら、飼い主が扉を開けて出すまで中で熟睡していられるくらいが合格ラインではないかと思っています。
そのようなトレーニングが身についているか以前にも、パグ、ブルドッグ、シーズーなどの短頭種はもともと高温や環境変化に弱いので航空会社によっては搭乗を制限している場合もあるため、犬種自体が渡航に適正であるかどうかも、事前に規約等でしっかり調べておくことも大事です。また、幸いコーダは日ごろから鍛えていたので何とかクリアできたのですが、シニア犬のリスク、持病のリスクなども必ず考慮すべき項目です。コーダは当時12歳のシニア犬での渡航で、かつ心臓病もわかっていたので、健康リスクも含めて獣医師と相談しながら健康証明書を書いてもらいました。
飛行機での輸送は、航空会社によっては犬も旅客席でクレートに入って搭乗もできますが、犬の体重の規定があり、コーダが乗ったITAエアウェイズでは、犬とクレートの重さを合わせて8kg以内なら座席に持ち込みが可能でしたが、コーダは8㎏以上だったため、私とは離れ離れで貨物室での輸送でした。貨物室輸送の際は、普段の生活からいつもリラックスしてよく社会化できており、飼い主と離れていてもパニックにならないと信じられるぐらいの関係性であることが大前提になると思います。
愛犬と暮らすうえで、「どこでも一緒に連れて行く」ことは、必ずしも正解ではありません。まずは、「愛犬の安心・安全」を第一に考えてあげましょう。
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次回、連載第7回は4/15(水)公開予定です
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