2025.12.17
犬に「マテ」「スワレ」の命令口調はもう古い⁉ 「言葉は行動に反映される」という気づき【サーフィン犬 コーダが教えてくれたこと 第4回】
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飼い主と犬が安心して信頼関係を築ける場所をつくる

2018年、コーダが6歳になって少しした頃、本格的にドッグトレーニングのインストラクターになろうと決意しました。とはいえ、トレーナーの私がスクールで直接犬に教えても、飼い主が犬を導く手法を実践できなかったら、トレーニング期間が終わると共に犬もやり方を忘れてしまいます。どうせなら、飼い主が自らドッグトレーナーとなり犬との信頼関係を築けるようになってもらう、そんな場所になるスクールを作りたい。さらには、できるだけ犬にとってストレスが少なく集中できて、雨天などの気候に左右されない場所も欲しい。私は、ドッグスクール施設の開業に向けてクラウドファンディングに挑戦してみることにしました。
クラウドファンディングは当時、社会貢献などさまざまなプロジェクトを叶える手段として話題になっていましたが、実際はもちろん簡単ではありません。金銭的支援を受けることをどこか後ろめたく思ってしまっていた私は、「世の中の役に立つのだから…」と自分を奮い立たせて友人・知人ひとりひとりを頼っていきました。それで縁が切れたとしてもおかしくないのですが、私の友人・知人はみんな心やさしく応援、さらには賛同して周りにも広めてくれ、おかげでわずか半年で目標金額を達成することができました。でもその喜びも束の間で、支援で得た資金の40%はクラウドファンディングの運営会社に手数料として差し引かれ、その残金もスクール店舗の内装費で一瞬で消えてしまいました。追加資金を国民生活公庫からなんとか借り、運営に充てるなどして、2019年1月、ついに地元の千葉・実籾に「Perritoドッグスクール」を開業することができました。
Perritoは、スペイン語で親しみを込めて犬を呼ぶ時に使われる言葉で、英語で「Doggy」、日本語で「ワンちゃん」みたいな意味があります。先代犬・ココから「犬って笑うんだ。」と教えてもらったこと。コーダを「笑顔にしたい」と思ったこと。ドッグトレーニングを学んだおかげで自分も笑顔になれたこと。犬と暮らす人すべてに伝えたい、そんな想いを込めて名前を付けました。

オープン当初はスクール生も少なく、その後コロナ禍でスクールどころじゃなくなるなど大変な時期も多かったですが、何とか続けて来られたのは、いつもそばにコーダが、そしてクラウドファンディングで支援してくれた方々や家族がいてくれたからでした。開業から5年以上経った今、犬を褒めることで望ましい行動を導く「正の強化ベースのトレーニング」を実践する人が周囲に増えてきたように感じますし、サーフィンなどのアクティビティを犬と一緒に楽しむことを実践し、教えることで、少し堅苦しいイメージがあったドッグトレーニングも、「かっこいい」「やってみたい」と言ってくださる方が少しずつ増えてきて、日本の、犬との関係に対する考え方の変化にも少しずつですが関われて来れている気がしています。これからも変わらず、犬にとって安全で優しく、人間と犬がお互いに楽しいと思う方法を学びながらスクールを続けていきたいと思っています。

【ドッグトレーナー浅野のWANコラム-4-】
行動の問題は、環境を見直すことで解決することがある
犬の、人間にとっての困った行動が起きた時、例えば愛犬の「吠え」ですが、「ダメ」や「NO」など叱り言葉を使って止めようとする人が多いのではないかと思います。それでその時は止められても、しばらくしてまた同じような状況になった時、犬は結局「吠え」をしていませんか?
犬が吠えることを「ムダ吠え」と呼んだりしますが、犬の「吠え」が「ムダ」であるのことは実はほとんどなく、「吠え」るのには必ず理由があります。それは「何かに警戒して吠える=警戒吠え」、「何かを要求して吠える=要求吠え」、大きく分けてこの2つです。その「何か」(=原因)さえなければ「吠え」もなくなるものであり、そのように原因をできるだけ取り除くことは「環境設定」と言います。
行動の問題が起きにくいように環境を整え、望ましい行動に対して褒めて、トリーツ(報酬)を与えることで、望ましくない行動が減少し「ダメ」や「NO」も減っていきます。犬の行動に困ったら、まずはぜひ環境を見直してみてください。
次回、連載第5回は1/21(水)公開予定です
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