2025.12.17
犬に「マテ」「スワレ」の命令口調はもう古い⁉ 「言葉は行動に反映される」という気づき【サーフィン犬 コーダが教えてくれたこと 第4回】
犬と暮らす楽しさ。スポーツや遊びを通じて犬とわかり合う楽しさ――。
ドッグトレーナーになってからは、動物たち本来の性質に則ったQOL(生活の質)に配慮する「動物福祉」の考え方をもとに、飼い主と犬がより良い関係を築くためのサポートをする浅野さん。この、人間の都合だけによらない「動物福祉」の考え方が世界中で広まりつつある今、長く続いて来た“人と犬とのパートナーシップ”についてもまた、改めて考えてみたい。
前回で”咬みグセ犬”コーダの問題行動は全て解決。でも、まだ消えないモヤモヤがあって…。
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受け入れることができない「服従訓練」という言葉の違和感
コーダを叱るのではなく褒めて教えるようになってから、それまであった問題行動はウソのように消えていきました。でも、まだ私自身にどこか腑に落ちない部分があって、「それは何だろう?」「何の違和感なのだろう?」とずっと考えていました。
褒めてトリーツ(報酬)を提供して行動を教えているけれど、それは一般にオビディエンスと呼ばれ、日本語にすると「服従訓練」です。「オスワリ」や「フセ」も、コマンド(日本語で「命令」の意味)だし。私はコーダを服従させたいわけではないから、コーダに「服従訓練」するのも「命令」するのも嫌だなぁ…。飼い主にとっての「犬の行動の問題」は、犬自身がどう行動すれば良いか分からなくて困っている時に起こります。私は、自分の犬に対する知識の無さのせいでずっとコーダを困らせていたのですから、コーダに上から目線で偉そうなことは言いたくありません。もっとお互いが歩み寄り一緒に学んでいくようなトレーニングをしたい、「服従訓練」や「しつけ」ではなく「信頼関係を築きたい」、そう思っていました。

「マテ」=「マッテ」、「コイ」=「オイデ」…コーダとの関係性を変えた魔法の言葉
そんな時、たまたまBAW ACADEMYの齋藤美紀さんのブログを読みました。そこに書かれていた「言葉は行動に反映される」という言葉に、私の「どこか学び足りない部分」はこれだ!と直感しました。言葉で「スワレ」と言うとどうしてもこっちも「命令」している気持ちになってしまうし、それで座ってくれないと反抗されたように感じてしまう。同じく「コイ」と言っても来なかったら、つい「何で来ないんだ!」となってしまう。
――「スワレ」「コイ」と、命令口調で犬に選択肢がない状態に追い込むのはフェアじゃないから、犬の立場になって「スワレ」は「オスワリ」、「マテ」は「マッテ」、「コイ」は「オイデ」、「ダセ」は「チョウダイ」に。そんな、お互い歩み寄るような言葉に変えてみたら、コーダとの関係がさらに仲良く、濃いものになってきたのを実感しました。そして何よりも、自分自身の気持ちがぐっと楽になりました。
接し方や言葉使いを変えるだけで、こうも人生が変わる――コーダと一緒に学ぶことをきっかけに自分を見つめ直し、新しい世界が拡がっていくのを目の当たりにしたことで、自分が取得してきたトレーニングの資格や技術、学びが、世の中の役にも立つかもしれない…という思いが次第に大きくなってきました。私自身もこの「気づき」がなければ、「殺処分寸前」と言われたあの時、自分が学ばずに他人任せの訓練に預けてしまっていたら、今のコーダや自分はありません。私と同じような悩みを持つ飼い主やコーダのように困っている犬の助けになりたいと、強く思うようになっていきました。

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