よみタイ

チョコザップに人生を変えられた男。彼が見つけた新しい幸せのカタチとは?

 さて、意気揚々と店舗の前までは来たものの、なんでも初めてというものは緊張する。バイト初日、もしくは風俗店に初めて足を踏み入れるときと同じ緊張感で口の中はカラカラだ。風俗店というたとえを使っていることから、今回のエッセイがチョコザップに頼まれた企業案件でないことはわかっていただければ幸いである。
 
 ええい、ままよと覚悟を決め、入口の読取り機にスマホのQRコードをかざして入店。店内には2名の先客が。ストレッチシートの上で入念に柔軟運動をする若者、仕事帰りなのか休憩時間なのかはわからないが、スーツ姿でエアロバイクを漕いでいるサラリーマン。なるほど、「初心者でも通いやすいコンビニジム」というチョコザップのコンセプト通りの風景がそこには広がっていた。
 
 簡易ロッカーに手荷物を入れ、更衣室にて動きやすい服装に着替える。トレーニングウェアに専用シューズといった本格的な準備はいらない。Tシャツにチノパンぐらいの格好で私は充分だ。
 
 まずはストレッチスペースにて、屈伸、アキレス腱伸ばしなどの準備運動を入念に行う。私はおっさんになった。己の体力を決して過信しない。いきなり体を動かした先には取り返しのつかない大怪我が待っているのだ。
 
 ストレッチを終え、ジムの中をぐるりと見回す。エアロバイク、ランニングマシン、チェストプレス、ラットプルダウンといったトレーニングマシンが設置されている。
 各機器の使い方やトレーニング方法はスマホのアプリから、説明動画を見て調べられるようになっている。インストラクターが常駐していない無人ジムでも安心だ。プロから的確なアドバイスをもらいたい人もいるだろうが、ちょっとしたエクササイズ目的で通う私にはこの方が居心地がいい。
 最近見かけるようになった無人の古着屋に似た気軽さに似ている。服屋の店員に話しかけられるの苦手なんだよな。

シンプルながら清潔な店内。
シンプルながら清潔な店内。
マシンの使い方はスマホアプリの動画などでチェックできる。
マシンの使い方はスマホアプリの動画などでチェックできる。

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 ランニングマシンにて20分ほどランニングとウォーキングを繰り返して気持ちのよい汗をかく。平日の夜11時過ぎは利用者も少ないようで、店内には私ひとりだけという貸切状態に。調子に乗って鏡に向かってマッスルポーズを取ってみる。
 ジムに行かなくても、タオルやゴムチューブを使って自宅でのエクササイズは可能だが、やはり専用機器を使ってのトレーニングは首、肩、胸、腰、太ももが効果的に鍛えられている気がする。

 適度に体をいじめたあと、「ちょこカフェ」という無料のドリンクバーで水分補給。プロテインやコラーゲンが配合されたドリンク、コーヒー、お水が用意されており、まさにいたれりつくせりである。
 さらにチョコザップの凄いところは、トレーニングマシンだけでなく、セルフエステ、ネイルコーナー、歯のホワイトニング、セルフ脱毛、コワーキングスペースも用意されている。健康だけでなく美容面もサポートしてくれるのだ。 

 デビュー初日から全トレーニングマシン制覇とセルフエステまで体験し、非常に有意義な時間を過ごすことができた。子供の頃に裏山に作った秘密基地に遊びに来ているような不思議な高揚感が堪らない。うん、これはリピート確定でございます。

「ちょこカフェ」というフリードリンクコーナーがある店舗も!
「ちょこカフェ」というフリードリンクコーナーがある店舗も!
アプリで予約して入る、セルフエステ。マシンはじめ他サービスの有無は店舗により異なるのでチェックを!
アプリで予約して入る、セルフエステ。マシンはじめ他サービスの有無は店舗により異なるのでチェックを!

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新刊紹介

爪切男

つめ・きりお●作家。1979年生まれ、香川県出身。
2018年『死にたい夜にかぎって』(扶桑社)にてデビュー。同作が賀来賢人主演でドラマ化されるなど話題を集める。21年2月から『もはや僕は人間じゃない』(中央公論新社)、『働きアリに花束を』(扶桑社)、『クラスメイトの女子、全員好きでした』(集英社)とデビュー2作目から3社横断3か月連続刊行され話題に。
最新エッセイ『きょうも延長ナリ』(扶桑社)発売中!

公式ツイッター@tsumekiriman
(撮影/江森丈晃)

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