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[編集部ブログ]ひとみしり編集者のEMANON DAYS

ありがとう、ユーミン。あなたはやっぱりニッポンの至宝です(涙

去る5月16日、ユーミン、こと松任谷由実さんの45周年ツアー@日本武道館に行ってきました。

夢のような約3時間…今でも反芻してしまいます。
ありがとう、ユーミン。

ユーミンの歌が周りにあることが当たり前だった

70〜80年代頃のユーミンのコンサートのチケットなんて、そこらへんの高校生には逆立ちしたってとれなかった。
プラチナ中のプラチナチケット。

実際その頃のユーミンの人気はすごいものがあって。
当時はたとえユーミンの熱狂的なファンというわけではなくても、世の中にユーミンの曲があまりに普通に頻繁に流れているために、耳で心で憶えてしまったものだ。

なぜか今でも記憶に残っているのが、その頃の雑誌オリーブでのユーミン特集。
当時の創刊間もない頃のオリーブはといえば、その後大プッシュするリセエンヌ系になるよりかなり前、パリというよりはどちらかというと西海岸、LA寄りの、ポパイの純正女の子版というイメージが強くて、大好きな雑誌だった。

その時のユーミン特集では、ユーミンのステージのダイナミックさ、例えばステージに本物の象を連れてきちゃうとか泡風呂の中から歌っちゃうとか、その後のシャングリラやシルク・ド・ソレイユとのコラボレーションもさもありなんというべきステージ演出を取り上げていて、そんな記事を読みながら、歌はとってもメロウなものが多いけどステージはこんななんだなぁ、脚キレイだなーとか、ぼんやり思っていたのである。

さて、世に言う80年代、バブルの時代というのはまさにユーミンの最盛期のひとつ。
これまた今でも鮮明に憶えているのだけど、84年のアルバム「NO SIDE」がリリースされたときには渋谷のタワレコがそのゴールドのジャケット一色になって目がクラクラしたものである。

そのくらいすごかった、ユーミン。恋愛の教祖とか言われてた。
別にお悩み相談とかしてたんじゃない。その歌からのメッセージ性だけで。

ニッポンの恋はユーミンの歌と共にあるのは本当

やがて社会人、編集者になってからは音楽担当をしばらくやっていたので、実際にユーミンのコンサートに行く機会にも何度か恵まれた。
噂に違わず、ダイナミックな演出、素晴らしい音響とミュージシャン、そして何よりも長身と抜群のスタイルを生かしたユーミンのたたずまい、ダンス…すごい、すごすぎる。エンターテインメント極まれり。

よく、恋も仕事もユーミンに教わった、というようなタイトルとかコメントとか特集があるけれど、確かにユーミンの楽曲の歌詞というものが、ある意味格言チックだったり教訓になるものだったりする。

「ルージュの伝言」ではオイタをした彼のママに言いつけることを教わり、「真珠のピアス」では不実な彼の部屋にピアスを片方落としてくるワザを教わり、「Destiny」では普段着も気を抜いてはいけないことを教わり、「14番目の月」では恋が成就する寸前の醍醐味を…キリねーよ!w

今回のツアーはこちらのベストアルバムから
今回のツアーはこちらのベストアルバムから

音楽を聴くとき、あまり歌詞には耳を傾けない自分ですらこんなに心に残ってる。
それでもそんな私ゆえに、ユーミンはやっぱり楽曲、旋律の心地よさというのがいちばんだ。
車内でかけられることも多いユーミンナンバー、ドライブとのグルーヴ感は最高。

その頃、Apple musicとかないからね。CDからテープにダビングして(車にCDプレーヤーまだ搭載されてなかったし)、「カンナ8号線」に「埠頭を渡る風」に「真冬のサーファー」に「サーフ天国、スキー天国」…そうそう苗場もすごかった。ゲレンデでかかるユーミン。スキーとまるで関係ないナンバーでも違和感ゼロ。

名盤「サーフ&スノー」はジャケットもすごく可愛くて部屋の壁に飾ってた
名盤「サーフ&スノー」はジャケットもすごく可愛くて部屋の壁に飾ってた

関越の練馬インターから月夜野まで続くまさかの渋滞(実話)、そうまでしてスキーに行きたかったのか。
高速上で夜明かしする車中、「サーフ&スノー」は9割の車に搭載されていたんじゃないのか。

アーティストへの愛とリスペクトと感謝が溢れる空間

で、今回の武道館。
筆舌に尽くしがたいほど素晴らしいステージでした。
そもそも武道館くらいの規模感て、アーティストとの距離感もちょうどよくて、いちばんステージを堪能できる。オバちゃんにはちょうどいい。AKBも武道館で見るのがいちばん好きだった。

会場中央に円形のステージがしつらえてあり、その上で多種多彩な演出とともに縦横無尽に歌い踊るユーミン。圧巻。
だけどだけど、何よりも素晴らしいのはそのサービス精神に尽きる。

今回はベストアルバムのツアーということで皆にはおなじみのナンバーばかり、ってことを差っぴいても、溢れんばかりのサービス精神からもたらされるエンタメの数々。どんだけ手間と費用がかかってんのか、コレ。
アンコールも含めて約3時間近く、ただただ釘付け。

「かんらん車」の荘厳すぎる演奏とプロジェクションマッピング、バブル感爆発の「ハートブレイク」…惜しげもなく晒す脚線美は健在だし、当時からまるでコンピュータのようだと思っていた伸びのある声は、曲が進むごとにどんどんどんどん迫力を増してくる。

そして白眉はアンコールの「やさしさに包まれたなら」。
「カンナ8号線」で会場をぐわーっと盛り上げた後に、じゃあ、みんなも一緒に歌ってねと「やさしさに包まれたなら」。

武道館、13000人余りによる大合唱。
鳥肌が立ったよ。
はっと気づくと自分も声を張り上げて歌っていた。

ライブ会場で聴衆のみんなが大声で一緒に歌うということ自体はそんなに珍しいことではない。
でも、あの会場の一体感って…ちょっと曰く言い難い。言い表わせる文才のない己がもどかしい…。

シンプルなピアノ伴奏とユーミンの声。そこに寄り添うように響くみんなの歌声。ユーミンへの愛とリスペクトがいっぱいすぎる。涙。

いくら自分の好きなアーティストの楽曲とはいえ、歌詞の2番も3番もリフレインも、そしてちょっとした転調も節回しも後奏のハミングまで、全て完璧にみんなが歌ってる。
それぞれがそれぞれの歌への思いとユーミンへの感謝を込めて。
ユーミンも涙ぐんでいたけど、みんなも泣いてた。私も。

アルバム「オリーブ」のユーミンのオシャレ感がまたなんかもう!
アルバム「オリーブ」のユーミンのオシャレ感がまたなんかもう!

今年65歳になるユーミン。

最近ちょっといろんなことがあって凹んでいたり、年とって体調が落ちてきていろんなことがうまくいかないなあ、と思ってたりもしたんだけど、どれだけ甘えたちゃんだよ、自分!

若い多感な頃、ユーミンの歌を聴いて恋だの愛だのにキュンとするほどピュアな女の子ではなかったけど、50を過ぎた今、ユーミンのステージを観て、とてつもないパワーをもらった。
ユーミンの今の夢は「続けること」だそうだ。カッコいい、カッコよすぎる。
ありがとう、ユーミン。

ところで私はユーミンのインタビューをするという僥倖に2回ほど恵まれている。

その1回目は、入社2年目の頃だったんだけれども、確かアルバム「TEARS AND REASONS」のリリースタイミングのインタビューだった。

いちばん好きなアルバムは何かなあ、と思い返してみたけど、意外にこちら「REINCARNATION」。「NIGHT WALKER」「オールマイティー」「星空の誘惑」「川景色」をぜひ
いちばん好きなアルバムは何かなあ、と思い返してみたけど、意外にこちら「REINCARNATION」。「NIGHT WALKER」「オールマイティー」「星空の誘惑」「川景色」をぜひ

その日のユーミンは黒いぴったりしたドレスに身を包み、胸元にはちょっと目立つネックレスをしていた。
スタジオに入って開口一番、
「今日は満月なのよね。だから月のパワーに負けないようにムーンストーンのネックレスしてきたの」と笑った。

インタビューを終えて、お疲れ様の後にいつものようにレコーダーを確認した。当時はボイスレコーダーはないのでカセットテープを入れるテープレコーダーである。テープはきちんと回っていて、念のため聞き直そうと思って再生すると最初の3分ぐらいは入ってるんだけど、途中から変な風に声が乱れ始めて、その後全く録音できていなかった。

…血の気が引いたよ。

そこから1人スタジオに残って、ペンを握りしめてひたすらひたすら思い出せるだけ書き起こしてから、原稿にしたものです。
今初めて話す懺悔。

本当に不思議な出来事だったけど、あれは絶対満月のパワーなんかじゃなくて、それを跳ね除けようとしたユーミンのパワーの影響だったんじゃないかなぁと、今でも思っているしだいです。

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志沢直子

しざわ・なおこ●集英社のノンフィクション編集長。東京都出身。新卒で集英社に入社後、メンズノンノ、LEE、MORE、MAQUIAなど女性誌編集とデジタル編集の経験を経て、2018年6月よりノンフィクション書籍・ウェブプロデュースを担当。フェイバリットは、ノンフィクション、ミステリ、マンガ、デジタル、美容、ゴルフ&ラン
Twitter→https://twitter.com/naokoshizawa

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